最終更新日 2024年4月19日 by niefrancisf

風力発電は、環境に優しい発電方法として注目されており、ヨーロッパを中心に普及が進んでいます。
日本においても太陽光発電とともに徐々に認知度が高まっていますが、そもそも風力発電はブレードと呼ばれる回転羽を風の力で回転させ、その回転動力を発電機で電気へと変換するシステムです。
そして、返還された電気は変圧器によって昇圧されたのちに送電線や配電線を経由して各地へと届けられていますが、風力発電システムには、ブレードの回転速度を高めるための増速機や、強風による過度な回転を防止するためのブレーキ装置も内蔵されています。

二酸化炭素を排出せずに発電できるため環境負荷が少ない

また、風力発電は太陽光発電などと同じく二酸化炭素を排出せずに発電できるため環境負荷が少ないというメリットがありますが、太陽光発電とは異なり風さえ吹いていれば発電することが可能です。
加えて、環境負荷の少なさや時間を問わずに発電できること以外にも、入力エネルギーに対して得られる電気の割合を示す変換効率が高いというメリットもあります。
太陽光発電における変換効率は約20%、木質バイオマス発電が約20%、地熱発電が10〜20%とされているのに対して、風力発電の変換効率は20~40%を誇ります。
つまり、風力発電は風が十分に吹いていなければ多くの電気を発電することはできませんが、風さえ吹いていれば他の発電方法よりも効率的に発電できるということです。

現在主流なのは陸上風力発電

このように様々なメリットがある風力発電ですが、風力発電は設置場所によって大きく陸上と洋上に分けられます。
現在主流なのは陸上風力発電ですが、陸上風力発電はブレードを回転させるのに十分な風を確保できる場所が限られており、システム稼働時に騒音が発生するという問題があります。
そこで、近年注目を集めているのが海洋上に設置された洋上風力発電システムです。
海洋上は陸上と比べて強い風を継続的に得ることができるため、洋上風力発電は陸上風力発電よりも安定して多くの電気を発電できるというメリットがあります。
加えて、海洋上に設置することで騒音問題のリスクを軽減することが可能で、海に囲まれた島国である日本では設置場所の確保が容易というメリットもあります。
このようなメリットがあることから、近年では風力発電施設を海洋上に設置するケースが増えています。

洋上風力発電の工法

なお、洋上風力発電は工法によって大きく着床式と浮体式に分けられます。
着床式は、基礎を海底に固定する工法で、海岸から比較的近い場所に建設される際に採用されています。
一方の浮体式は、海底に基礎を固定せず海洋上に施設を浮かべる工法です。
ワイヤーを海底に固定することで施設の移動を制限する工法で、海岸から遠く水深が深い場所でも建設されます。
着床式と浮体式のどちらが適しているのかは、周辺海域の状況や気象条件などによって異なりますが、他の地域よりも風力発電が普及しているヨーロッパでは着床式が主流です。
着床式は、遠浅の海岸に適していると言われているのですが、ヨーロッパでは遠浅の海岸が多いので着床式で建設されるケースがほとんどです。
また、着床式は台風などによって被害を受けやすいという特徴があるものの、ヨーロッパは気象条件が比較的安定しているので着床式で建設しても問題が生じるリスクがほとんどありません。
一方、日本の場合は遠浅の海岸が少ないことに加えて、台風などによる被害を受けやすいので着床式は適しません。
しかし、浮体式の場合は水深が深い場所でも建設できますし、基礎が海底に固定されていないので台風などによって海が荒れても被害を受けるリスクが少ないというメリットがあります。
そのため、日本においては浮体式の方が適しており、今後は浮体式の風力発電が普及していくと予想されています。

洋上風力発電のデメリット

ここまで、洋上風力発電のメリットや種類などについて解説してきましたが、海洋上に建設される風力発電にもデメリットはあります。
洋上風力発電のデメリットとしてまず挙げられるのは、建設コストです。
正確なデータがあるわけではありませんが、海洋上に施設を建設するためには陸上である程度部品を組み立てた上で海洋上へと輸送して建設を進めていく必要があるので、陸上風力発電よりも建設コストが30~40%ほど建設コストが高くなるとされています。
部材の輸送コストは陸上と比べると安い傾向がありますが、クレーンなどを海洋上に設置する必要があるので建設コストはどうしても高くなってしまいます。
また、発電した電気を陸上へと送る海底ケーブルの設置も必要となりますが、特に海岸から遠い場所に建設する場合は海底ケーブルの設置に大きなコストがかかります。
加えて、メンテナンスが簡単にできないのもデメリットのひとつです。
陸上風力発電の場合、何らかのトラブルが発生しても担当者が駆けつけるのは容易ですが、海洋上に向うには船が必要になるので簡単に駆けつけることができません。
また、海が荒れていて船が出せないとトラブルへの対処が遅れてしまうという問題もあります。

まとめ

このように、洋上風力発電にもデメリットはありますが、メリットも大きい発電方法なので今後は日本でも普及していくでしょう。

Influx星野敦